共感疲労と似て非なる感情疲労とは

介護の現場で働く人々が陥りやすい「感情疲労」という状態があります。
これは、仕事上で感情をコントロールし続けることによって心が疲弊してしまう現象です。
似た言葉に「共感疲労」がありますが、実は異なる概念であり、それぞれの特徴を理解することが大切です。

感情疲労とは、自分の本当の感情を抑えて、職業上求められる感情を表現し続けることで生じる疲労です。
介護士は、どんなに疲れていても笑顔で接し、イライラしても優しく対応し、悲しくても明るく振る舞うことが求められます。
この感情労働を続けることで、心のエネルギーが消耗していくのです。
特に、利用者からの暴言や理不尽な要求に対しても、感情を押し殺して対応しなければならない場面が多く、大きなストレスとなります。

一方、共感疲労は、他者の苦しみや悲しみに深く共感し続けることで心が疲れてしまう状態を指します。
利用者の痛みや不安を自分のことのように感じ取り、感情移入しすぎることが原因です。
つまり、感情疲労が「自分の感情を抑える疲れ」であるのに対し、共感疲労は「他者の感情を受け止めすぎる疲れ」という違いがあります。

感情疲労の症状には、仕事中と仕事外で人格が変わってしまう、感情が麻痺して何も感じなくなる、突然涙が出る、些細なことで怒りが爆発するなどがあります。
また、「本当の自分」と「仕事中の自分」のギャップに苦しみ、自己嫌悪に陥ることもあります。

感情疲労を防ぐには、感情を抑え込みすぎないことが重要です。
信頼できる同僚に本音を話したり、休憩時間に少し感情を解放したりする工夫が必要です。
また、完璧な対応を目指しすぎず、時には自分の感情を適切に表現することも大切です。
プライベートでは思い切り感情を出せる時間を持ち、心のバランスを取り戻しましょう。

感情疲労も共感疲労も、真面目で責任感の強い介護士ほど陥りやすい状態です。
自分の心の状態に気づき、適切なケアをすることが、長く介護の仕事を続けるための鍵となります。